最低限の知識を得てから不動産投資を始めましょう。
目次
- 1 医師の不動産投資ブログは参考になるけど注意が必要
- 2 医師の不動産ブログを読む時のポイント
- 2.1 ①どんな投資手法か?
- 2.2 ②明確な基準はあるか?
- 2.3 不動産投資手法:地方中古鉄筋コンクリート(RC)造マンション1棟物
- 2.4 目的:潤沢なキャッシュフロー >> 資産価値
- 2.5 目標:本業と同じレベルの不動産収入 >> 個人の節税
- 2.6 属性:勤務医または開業医
- 2.7 自己資金:最低1000万円 できれば2000万円
- 2.8 年収:800万円できれば1000万円以上
- 2.9 利回り:最低でも8% できれば9%以上
- 2.10 築年数:築20年以内 1棟目はできれば築15年前後
- 2.11 返済比率:45%以下(今の時期はできれば40%以下)
- 2.12 融資期間:耐用年数内(RC耐用年数47年−築年数) ※絶対
- 2.13 融資割合:頭金1割〜フルローン、可能ならオーバーローン
- 2.14 物件評価:積算評価>収益還元
- 2.15 利用する銀行:地方銀行(スルガ銀行は除く)≒信用金庫・信用組合>>都市銀行>>ノンバンク(三井住友トラストL&F,セゾンファンデックス,新生インベストメント&ファイナンスなど)
- 2.16 ③資産規模だけでなく投資の内容が優れているか?
- 2.17 ④医師がどんどんと案件を紹介していないか?
- 2.18 ⑤その医師は信頼できそうか?
医師の不動産投資ブログは参考になるけど注意が必要
医師の不動産投資ブログには、参考になることがたくさん書かれています。しかし、ブログを書いている医師の中には非常に低い利回りの物件を紹介したり、不動産以外の詐欺的な投資案件を紹介する医師がいることも事実です。
私の周りにも、医師の不動産投資ブログや医師が書いた不動産の本をきっかけに不動産や投資案件を紹介され、かなりの損をした人がいます。
同業の医師だからといって何でも鵜呑みにせず、本業同様、批判的な思考でブログを読むようにしてください。このブログも医師の私が書いていますが、私の偏見が入っていることを加味しながら注意して読んでください。
医師の不動産ブログを読む時のポイント
医師の不動産投資ブログを読む時には、
①どんな投資手法か?
②明確な基準はあるか?
③資産規模だけでなく投資の内容が優れているか?
④医師がどんどんと案件を紹介していないか?
⑤その医師は信頼できそうか?
この辺りを意識して読むことをお勧めします。
では一つずつ詳しくお伝えします。
①どんな投資手法か?
その医師はどのような不動産投資手法を行なっているのか確認してください。不動産投資と一口にいっても、様々な投資手法があります。
- 新築区分マンション(病院に度々電話がある案件はほとんどこれ。m3にもあり。)
- 中古区分マンション(時々はこちらの勧誘もあり。m3にもあり。)
- 海外区分マンション(ハワイやアメリカ、マレーシアなど)
- 新築木造アパート(やたらと横浜市の案件が紹介される)
- 築古木造アパート(業者が節税と言ってくる。土地値以下で買う資産性重視の投資法もあり)
- 築古鉄骨造一棟マンション(スルガ銀行が得意だった案件)
- 古民家再生
- 新築戸建
- 賃貸併用住宅
- 商業用ビル(テナントビル・雑居ビル(ソシアルビル social))
- 民泊
- 再建築不可物件(大阪に多い)
- 新築鉄筋コンクリート(RC)一棟マンション
- 中古鉄筋コンクリート(RC)一棟マンション(私が実践しているのはこれ)
- 全空〜空室率50%の一棟RCや木造アパートの再生物件
ざっと書いてもこのくらいの投資手法があります。その医師の不動産投資手法がどれなのかを明確にする必要があります。どれかを組み合わせることもできますが、多忙な仕事の合間に取り組む訳ですから、結果が出るまでは一つの手法に取り組んだ方が効率的です。
私が薦める医師の不動産投資法は【中古鉄筋コンクリート造(RC)マンション一棟】買いです。
②明確な基準はあるか?
その医師の投資手法に明確な基準があるかを確認してください。個人的なセンスで結果を出す人もいると思います。しかし、人に教える場合には明確な基準がなければ再現性が落ちます。それぞれの疾患に診断基準があるように、不動産投資にも基準があることがより再現性を高めます。診断基準のように、途中で微妙な変更はあります。
医師(勤務医・開業医)が最短で結果を出す不動産投資法とその条件
不動産投資手法:地方中古鉄筋コンクリート(RC)造マンション1棟物
都内の物件は資産価値がある一方で利回りが低く、手持ちの資金が少ない時期に取り組むとキャッシュアウトする恐れがあります。手元に億単位の現金があるのなら、純資産を重視して東京や大阪の一等地への投資を検討しても良いでしょう。億単位の十分な資金が無い段階では、一等地よりも地方都市での投資をおすすめします。地方のほうが利回りが高く、毎年の手残りが残りやすいからです。
もちろん、地方によっては人口減少の影響が大きく満室にできない地域や物件があります。地方でも中核都市なのか田舎なのか、需要と供給が極端に崩れていないかなどリサーチは必要です。
医師の不動産投資のほとんどが新築ワンルームマンションと思われますが、節税を目的とするのであれば否定はしませんが、不動産投資の中身としては利回りの低い赤字になる物件を買っている事になります。買っている人は多いものの新築ワンルームや区分マンション投資は不動産投資全体のごくごく一部の分野であり、王道ではありません。
一番のデメリットはワンルームマンションの銀行評価は基本的には負債、マイナスの判断になってしまう点です。余程の資産家や開業の先生で年収が5千万〜1億くらいあれば話は別ですが、年収1000万〜2000万前後くらいの勤務医で複数の区分マンションを抱えた状態では1棟投資へ移行しづらいか、できなくなります。
目的:潤沢なキャッシュフロー >> 資産価値
上記とも重なります。10年後、20年後のキャピタルゲインではなく、毎年キャッシュフローを積み上げることで大規模修繕にも耐えられたり、資金を再投資できるようになります。資産価値が高いけれど手残りが無い〜マイナスの物件よりも、潤沢なキャッシュフローが出る物件のほうが資産を拡大しやすいです。
目標:本業と同じレベルの不動産収入 >> 個人の節税
個人で不動産を所有しても本業の所得税が高いため、利益が出た時にお金が残りにくいです。個人の節税よりも資産管理法人で不動産を購入し続け、資産を拡大したほうが個人の節税よりも手持ちのお金や資産は増え、かつ安定します。また、法人を作ることで経費計上できる項目が増える点もメリットです。
医師であれば本業と同じレベルやそれ以上の家賃収入を得ることは十分可能です。目先の節税よりも、しっかりとお金が残る不動産を法人で購入することをおすすめします。
数年前なら都内の好立地で築22年の木造アパートが利回り10%前半で売買されることもあり、築古木造に融資する銀行もあったため、節税目的として成立しました。年収にもよりますが個人の長期譲渡となる5年を過ぎて売却すれば5〜6年間の合計で1000万〜2000万ほど所得税還付が受けられていました。
ただ、節税目的の築古にもデメリットがあり購入した物件は耐用年数を超えているため建物価値はゼロの評価です。一般的な銀行からは負債と判断され中古RC1棟へは移行しづらいか、できなくなります。
属性:勤務医または開業医
不動産投資は現在氷河期に突入していると言っても過言ではありません。一般のサラリーマン投資家には融資がとても厳しくなっています。今までは一部上場企業のサラリーマンであれば融資可能だったのが、NGとなってきています。
一方で、医師に対してはまだまだ融資する銀行があります。銀行側は医師という資格や職業に対しては、これまでよりも安全と評価する傾向にあります。ただし、私の経験上は、医師でどんなに年収や資産があっても、銀行や信金本部の意向で一見さんお断りのところもあります。
どちらかというと地方銀行のほうが医師という属性を評価してくれる印象です。
自己資金:最低1000万円 できれば2000万円
1億円の物件に対して1億円のフルローン融資が出ても、諸経費で約7%、不動産取得税を含めると約8%の費用がかかります。フルローンで買い進めても、一定の自己資金が必要です。少なくとも1000万円、できれば2000万円は自由に使える資金が欲しいです。貯金することが不動産投資家としての第一歩です。
年収:800万円できれば1000万円以上
金融機関は本業の年収と金融資産との兼ね合いで評価します。金融機関によっては金融資産を、より重視するところもあるので、一概にこれ以上の年収なら大丈夫とはいえません。
ただし、これから不動産投資を始める医師が利用するのはアパートローンといって、個人属性を活かした融資になります。一般的な企業が利用するプロパーローンとは異なっています。プロパー融資という名称であっても実質個人のアパートローンで個人属性が大きく影響します。アパートローンの場合は、本業の収入や奥様の収入も評価の対象になります。
年収は多いに越したことはありませんが、年収が多いのに金融資産が少ないと浪費グセがあると判断されることがあります。年収が低くても金融資産が多ければ堅実な生活だとアピールすることもできます。
持ち込む物件、年収、金融資産など総合的な判断になります。年収が800万円以下だからといって諦める必要は全くありません。今少ない理由とこれから伸びる理由をアピールできれば問題ないこともあります。
利回り:最低でも8% できれば9%以上
築年数:築20年以内 1棟目はできれば築15年前後
返済比率:45%以下(今の時期はできれば40%以下)
まとめて書きたいと思います。今の市況でも健美家、楽待、アットホームを探しても、RC築15年前後で利回り9%以上という物件はなかなか見つかりません。しかし、最終的にはこのくらいのスペックの物件を買うことが目標になります。良い物件の探し方や価格交渉のやり方についてはメルマガの中で書いているので、ご興味のある方はご登録ください。
これから初めて物件を購入されるなら、比較的築浅の物件のほうが運営がしやすく、しばらくは大規模修繕がないため、キャッシュフローが貯まりやすいです。1棟目に良い物件を購入できると、2棟目以降が楽になります。
融資期間:耐用年数内(RC耐用年数47年−築年数) ※絶対
法定耐用年数は
・鉄筋コンクリート(RC造)47年
・重量鉄骨 34年
・木造 22年
と決まっています。銀行側はその年数を基準に融資期間を決めています。RC造であれば、47年から引く場合と45年や40年など銀行によって若干違いがあります。耐用年数オーバーで融資を行う銀行や信金、それを前提に物件を紹介する仲介業者がいますが、耐用年数内の融資は原則守るようにしてください。
耐用年数内の融資で手残りが出ないようなら、物件価格が割高の可能性が高いです。利回りの悪い物件を耐用年数オーバーで計算して、キャッシュフローが出ているように見せかけている不動産業者は山のようにいます。売却のことも考えると耐用年数が残っていないと次の買い手が見つかりにくいことからも、耐用年数内の融資は必ず守るようにしましょう。
融資割合:頭金1割〜フルローン、可能ならオーバーローン
融資が厳しくなっており、頭金2割が当たり前の銀行もあります。一方で、医師であればかなり優遇してもらえ、今でもフルローンやオーバーローンでの融資も可能です。
実際に私も、フルローンやオーバーローンで購入できています。今後の規模拡大のためにも、よほど良い物件でなければ自己資金は温存しておいたほうが良いです。
不動産本の著者の中には、フルローンやオーバーローンは危険!とおっしゃる方がいることは確かです。しかし、それは利回りの悪い物件を買うときの話であって、フルローンやオーバーローンでも利回りが良ければ特に問題ありません。
問題なのは、物件の目利きができないことや価格交渉する技術やネットワークが無いことです。1億円の物件が価格交渉で8000万円に下がることがざらにあります。価格交渉をしなければ頭金2000万円だったところ、価格交渉によって頭金を使わなくても済むことがあります。
注意点としては、銀行によっては頭金の割合を2割と固定しているところがあり、価格交渉で1億円が8000万円に下がっても、その2割、1600万円は頭金で入れてくださいというところもあります。
あらかじめ銀行側に確認しておくと良いでしょう。
物件評価:積算評価>収益還元
不動産の評価方法に積算評価法と収益還元法が主にあります。積算評価は原価法とも呼ばれ、多くの銀行が利用しています。銀行側は積算評価に一定の掛け目をして担保価値を評価しています。
積算価格=土地の価格+建物の価格
土地の価格=(相続税路線価×土地面積(㎡))
建物(RC造)の価格=再調達価格×延べ床面積×(47−築年数/47)
再調達価格は鉄筋コンクリートであれば1㎡あたり18万円〜20万円です。銀行によって微妙に異なります。トヨタグループの株式会社タスが出している不動産評価サービス『TAS-MAP』では最小レベルの再調達価格として、鉄筋コンクリートが18万/㎡、鉄骨鉄筋コンクリートが20万/㎡となっています。(http://www.tas-japan.com/assets/pdf/hyokagakuchosei.pdf)
私はいつも19万/㎡を利用しています。仲介業者は主に20万/㎡で算出していることが多く、積算価格が高くなりがちです。良い物件を購入するためにも、再調達価格は19万/㎡で計算することをおすすめします。
投資家目線としては積算評価以下の物件価格で購入するように心がけます。もちろん、地方で土地が広い物件は積算評価が出やすいことは確かですが、キャッシュフローが出るかどうかもシミュレーションした上で購入を検討します。ただ単に利回りが良いからといって飛びつかないようにしてください。物件価格が積算価格より高い場合、1階店舗の家賃が高めに設定されているなどそれなりにリスクが隠れています。利回りは不動産業者に操作されやすいですが積算価格はしっかりとした基準があるため騙されにくくなります。
利用する銀行:地方銀行(スルガ銀行は除く)≒信用金庫・信用組合>>都市銀行>>ノンバンク(三井住友トラストL&F,セゾンファンデックス,新生インベストメント&ファイナンスなど)
2017年頃までは都市銀行の三井住友銀行と静岡の地銀のスルガ銀行が業界を牽引していました。2018年からはスルガ銀行の一連の問題で都市銀行に加えて、地方銀行も融資が厳しくなりました。
厳しくなったといっても、医師に対しては前向きな銀行はまだまだあります。今の時期は、都市銀行(三井住友銀行、りそな銀行、みずほ銀行)よりも地方銀行と地元の信金、信組に打診するほうが良い返事をもらえます。医師であれば、金利が高かったり自宅の共同担保を求められるようなノンバンクは利用しないでください。
2021年7月頃スルガ銀行の問題が再燃しています。金融庁が各地銀や信金、信組に通達を出したという話を銀行員から聞くことが増えました。サラリーマンへの収益不動産融資を厳格化したり融資しない方向に進んでいます。
ただし、これがずっと続くとは考えていません。地方では急な相続で売却しないといけないことがありますし、地方では貸出先が限られているため銀行側としては本当は融資したいと思っています。
今までよりも属性を絞り、医師のような高属性に対してのみ融資するか純資産のある資産家、実績のある不動産業者に融資する流れがしばらく続くのではないかと思います。
以上が現時点で私が考える医師の不動産投資法の基準です。まずは明確な基準があるかどうかを医師の不動産投資ブログを読むときの視点にしてください。
③資産規模だけでなく投資の内容が優れているか?
これは②の内容と重複する点もあります。医師の不動産投資ブログに限らず、一般的な不動産投資家の中には、資産規模だけを声高に唱える方がおられます。
例えば、『不動産投資で20億円』などと聞くと、あたかも凄いように聞こえるかもしれません。しかし、不動産投資は投資規模だけで成否を判断することはできません。投資規模が大きくても、ほとんどキャッシュフローが無く、1〜2部屋空くだけで手出しが出る物件ばかりのことがあります。
A医師:総投資額 20億円
家賃年収 1億円
キャッシュフロー(CF) 3000万
B医師:総投資額 10億円
家賃年収 1億円
キャッシュフロー 3000万円
A医師とB医師はどちらも家賃年収とキャッシュフローは同じですが、総投資額、つまりは借入額に違いがあります。少ない借入れで家賃年収1億円を達成しているB医師のほうが効率的で優れています。
筋肉質という表現をする投資家もおられます。不動産投資でもメタボ体型よりも筋肉質のほうが健全です。
医師の不動産投資ブログを見るときには投資規模という一つの数字だけにとらわれないようにしてください。
④医師がどんどんと案件を紹介していないか?
不動産投資で健美家や楽待、アットホームといった収益不動産を紹介するサイトでは毎日のように不動産が紹介されています。その中で買って良い物件は1000件に1件〜2件有るか無いかです。
不動産投資でもベンチャー投資でも1000件に3件の千三つとも呼ばれます。
そもそも、本当に良い物件は健美家や楽待に掲載される前に、以前に購入してくれた人や融資が付きそうな人に直接紹介されます。
それでも売れない物件が、一般の不動産のサイトに掲載されます。そんな中で、次から次へと不動産を紹介する医師がいるとすれば、目利きができていない、基準が甘い、または不動産業者からバックマージンをもらっている可能性があります。
⑤その医師は信頼できそうか?
ここが一番悩ましいところです。定量化できる指標がないため、感覚的な話になってしまうことをご了承ください。長年活動をしている医師の不動産投資ブログであれば、インターネットで口コミを調べればある程度情報が出てきます。実名や顔を出していれば、嘘はつきにくくはなるかもしれません。
最終的にはその医師の不動産投資法にしっかりとしたロジックがあるかどうかで判断するのが良いと思います。ただ、判断するためには不動産の知識が不可欠なため、物件を購入するまでには書籍やブログで学んでおく必要があります。オススメの書籍についてはまた別の記事で紹介します。
会って間もない医師からすぐに物件を購入することだけは避けてください。
不動産を買う時はご自身で良し悪しを判断できるようになってからです。他の医師に薦められて購入しても、最終的には自己責任になります。
「不動産投資はいいよ!」と言っているだけでは怪しいと思います。私のブログを含め、不動産投資のブログは批判的に読み進めてください。