医師が不動産投資で節税してはいけない理由

不動産投資で騙されない最低限の知識
もしもし、先生ですか?所得税は高いですよね。節税に興味はありませんか?不動産を買うと税金が戻ってきますよ。大阪にある新築区分ワンルームマンションですが、どうですか?
悪徳不動産業者
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かんざき@投資家兼医師
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あたたたたたたたたっ!!泰斗有情猛翔破(たいとうじょうもうしょうは)!!(苦痛を与えずに相手を倒す技)
かんざき@投資家兼医師
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新築区分 お前は もう儲からない! せめて痛みを知らずに去るが良い(トキ風に)
ひぃ〜でぇ〜ぶー
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不動産(区分マンション)を購入すれば節税は可能【トータルでは損】

医師でなくとも不動産を購入すれば減価償却や購入時の諸経費を経費にできるため所得税の一部が還付されます。不動産投資に減価償却や購入時の諸経費による節税効果があることは確かです。

不動産業者の中には、学会の旅費や日々の医学書の書籍代も一緒に経費にでき、還付額が増えると勧誘してくる場合があります。実際には給与収入に関する費用は不動産の経費にはできないというのが本当のところだと思います。ここは税理士さんに確認をお願いします。

医師の節税目的に紹介される不動産の多くが新築区分ワンルームマンションです。中古の区分や、築古木造アパートを4年で減価償却して節税するという手法もありますが、今回は特に勧誘されることが多い新築区分ワンルームマンションを想定してお伝えします。

医師の不動産投資で新築区分ワンルームマンションによる節税が絶対にダメな理由

①表面利回りが3%〜5%と異常に低く固定資産税や修繕積立金、管理費を考えるとキャッシュフローがマイナスだから。プラスだとしてもごくわずか。エアコン故障やクロスの張替えといった修繕費、広告料や空室リスクなどを考えるとさらにマイナス。

売却時に大きな損が出る。相場よりも割高+業者の利益が乗った状態で購入しており売却価格<<<<残債になる。売るに売れなくなる。

新築プレミアムで周辺相場よりも高い家賃設定をしているため、徐々に家賃を下げないと埋まらなくなる。

銀行の評価が低いために買い続けられない。年収の高い医師でも10戸くらいで銀行側は貸してくれなくなる。

新築区分マンションは購入した瞬間に約2割〜3割ほど値段が下がります。建築業者や仲介業者の利益がたっぷり乗っているからです。

マンション自体の価値が下がった分が大きく、毎月のわずかな手残りではトータルで大きなマイナスです。毎月マイナスのキャッシュフローで手出しが出ていることもあります。不動産ではなく負動産を買っています。

仮に学会出張費や書籍代などの日頃の経費を不動産収入と損益通算したとしても、節税効果はごくわずかで、資産価値の目減りや補修費、管理費、壁紙の交換といった修繕費広告費などの諸々の損失のほうがはるかに大きいです。

新築区分マンション投資はほぼ負けが決まっている投資手法です。業者が儲かって買った側は損をするからこそ、営業の電話が頻繁にあるのです。業者の中には、身分を偽って病院に電話をしてきたり、院内の携帯・PHSの番号を名簿業者などから取得して電話をかけてきます。

東京や大阪の新築区分を買わないかと言われています。私の場合は大阪の新築区分が多かったです。東証1部上場の会社もありますが、そういった案件でも新築区分マンションはほぼ負ける投資です。もちろん、中古区分マンションのごく一部では年数を経るごとに資産価値が上がっているマンションがあることも事実です。ただし、それはごくごく一部、しかも中古に限られ、業者の諸経費がたっぷり乗っている新築ではまずあり得ません。また、不動産投資の素人である医師の所には、おいしい話は来ないと考えた方が賢明です。

トータルで損をしても良いという人以外は新築区分マンションは絶対に買ってはいけません。節税はもちろん、団体信用生命保険が付いているという言葉にも騙されてはいけません。

忙しい外来や病棟業務、不眠不休の当直業務、毎日汗水流して、命を削って稼いだお金です。そんな大切なお金が、区分を買った瞬間に失われてしまいます。不動産投資の恐ろしいところは、30年〜35年という長期間で融資を組むため、失敗しているかどうか気づきにくい点です。10年後に失敗と気づいても手遅れです。生活習慣病のごとく、大血管障害が起きる前に対策が必要です。

節税に気を取られて、これから取り組むことが不動産投資であることを忘れないでください。不動産投資である以上、不動産自体が儲かるのか損をするのかで考えてください。

それぞれのダメな理由を深掘りします。

①キャッシュフローがマイナス

ほとんどの区分業者は、表面利回り(グロス)で話をしてきます。しかし、実際には様々な諸経費がかかります。固定資産税、都市計画税、修繕積立金、毎月の管理費などです。また、実際には空室による損失もあります。

一般的には、  家賃収入ー諸経費(固定資産税、都市計画税、修繕積立金、管理費)÷物件価格×100 で考えます。表面利回り5%でも実質利回りが2〜3%のことがあります。

実質利回りから、さらに毎月の銀行への返済も考えるとほとんどキャッシュフローは無いか、マイナスです。

表面利回りだけではなく、実際の経費がどのくらいかかるのかを必ず確認してください。表面利回りが高く見えても、実は業者が色々な名目で管理費などを多めに取っている場合があります。

②売却時に大きな損が出る

3000万円の新築区分マンションを購入したら、その価値は買った瞬間に8割以下、2400万円くらいになります。それだけ販売業者や仲介業者の手数料が入っているからです。

中古区分マンションの超好立地においては値上がりすることがありますが、新築の場合には、建物や土地の価値に加えて、販売業者の諸経費が乗っているため十中八九値下がりします。

知り合いの不動産業者は、新築区分は100%損をすると言い切っています。不動産投資の初心者は出口を考えずに購入する傾向があります。本業で忙しい医師も同様です。

新築だからしばらくは満室だろうと考えがちですが、投資においては売却まで想定し、利益を確定した時点で成功です。売却しようと思っても、残債以上で売れずにダラダラとローンを支払い続けることになります。

③新築プレミアムで高めの賃料設定になっている

見た目の表面利回りを高めるには、相場よりも高い賃料設定にすれば良いわけです。それが実際の相場とはかけ離れていても、見た目の利回りは高くなります。この基本的なことさえ知らずに購入してしまう医師がいます。

実際、社会問題となったかぼちゃの馬車事件では、実際の賃料相場に基づいて家賃が設定されていたのではなく、スルガ銀行の融資審査に通るように相場よりもかなり高額な賃料を設定していました。見せかけの高利回りのシェアハウスを高収入である医師も購入してしまっています。

周辺相場を調べずに業者の言われるがままに購入してしまったのです。実例を一つお示しします。

楽待という収益不動産のサイトで一般公開されている新築区分マンションの一例です。

目黒区の某新築区分マンションA

販売価格 3880万円

専有面積1K 27.8平米

想定年間収入 174万円(毎月14.5万円)

管理費 毎月7330円 家賃+管理費 合計 約15.2万円

修繕積立金 毎月2780円 家賃+管理費+修繕積立金 合計 約15.5万円

表面利回り 4.48%

JR山手線 目黒駅 徒歩8分

健美家や楽待には、こういった類の新築区分マンションが山のように掲載されています。掲載されている数字を鵜呑みにするのはとても危険です。

毎月家賃14万5000円、管理費を合わせると約15万2000円になります。この家賃は妥当でしょうか?調べる方法はいくつかありますが、一つはSUUMOというサイトを活用する方法があります。

上記のウェブサイトで[目黒駅][マンション][徒歩5〜10分][新築]で調べるとSUUMOに掲載されている物件の相場が出てきます。

1Kであれば平均11.7万円と出てきます。ただし、専有面積など個々の具体的な条件が分からないため「物件を探す」をクリックします。すると個々の新築物件が出てきます。同じ条件の中で最も高い家賃は、

実際にスーモで募集されている目黒駅近くの新築区分マンションB

目黒駅徒歩6分

賃料13.7万円

管理費1万円

1K 26平米

このような物件になります。管理費合計で14万7000円です。その次の物件だと1K 28.75平米で14万3000円(管理費込)です。そうすると目黒区の某新築区分マンションAの家賃は、相場よりも5千円から1万円ほど高いことがわかります。多少の専有面積の違いや内装、管理人の有無などによる差のこともありますが、こういった簡単な調査で、買おうとしている新築区分マンションの想定家賃が高いか低いかがなんとなくわかります。

さらに、他の条件は同じで築年数5年〜10年の条件で調べてみると…

目黒駅から徒歩5分〜10分以内の好立地であっても、築5〜10年になると1Kの家賃は平均11.7万円から10.9万円と8000円ほど下落しています。そうすると、購入した新築区分マンションの表面利回りは徐々に下がることが予想できます。都心の超人気駅の近くであっても、家賃下落が起こっていることがわかります。

不動産業者は「人気駅の近くなのでほとんど家賃は下がりません」と実態とはかけ離れたことを言います。業者側は売ったら手数料が入り、それでおしまいだからこそ、メリットに聞こえることしか言いません。

普段の医師の仕事の中では、ある治療方法が本当に良いのか疑問に思ったらエビデンスを調べるのに、不動産投資という分野になると全く裏付けを取らずに業者の言いなりになっている勤務医、開業医があまりに多いです。

④銀行の評価が低いので買い続けられない

区分マンションは土地の割合が極端に少なく、銀行が考える担保価値がほとんどないため、負債が多くなり、途中で銀行が貸してくれなくなります。不動産投資で年間1000万円のキャッシュフローを実現しようとした時、家賃年収では5000万円ほど必要になります。

家賃5万円の部屋であれば、年間60万なので83戸は必要になります。家賃10万円の部屋でも、40戸以上は必要になります。40戸も区分マンションだけで購入できるでしょうか?現金買いをする医師以外は無理だと断言します。手間がかかる上に、銀行側が10戸〜15戸ほどで融資をしなくなります。

具体的には銀行側が使う物件評価の方法に、主に積算法収益還元法の二つがあります。新築区分マンションは特に積算評価が低いです。銀行によっては積算法よりもさらに低評価をしたり、そもそも区分マンションを担保として考えない銀行もあります。

そうなると負債だけがカウントされ、信用毀損・債務超過と判断されます。現預金や医師の与信枠で多少カバーができますが、10戸買えたら立派です。結局は、買い続けられないことが分かり、泣く泣く損切りをする医師もいます。

宝くじで儲かるのはいつも胴元です。同じように新築区分マンションで儲かるのは業者側です。新築区分マンションを自ら利用するのなら良いのですが、投資としては絶対に買ってはいけません。不動産投資の禁忌肢です。

以上が新築区分マンションがダメな理由です。

m3.comに掲載されていた衝撃的な対談

m3.comのQOL君というページで、区分マンション業者と勤務医の先生との対談が掲載されていました。業者から、東京の区分よりも大阪の区分ほうが安いのでたくさん買えると吹聴され、なんと16戸も区分マンションを買ったそうです。

厳密な物件のスペックまでは不明ですが、収支についての記載があり、とても驚きました。それぞれの区分マンションの収支はマイナス2000円〜プラス5000円で、16戸で毎月の収支がプラス3万円というのです。

これは一見するとプラスなので成功しているように見えますが、ここまで書いたように、売却まで見据えると大損しています。ただ、失敗と気づくのが10年から20年先になります。本業が高収入であるが故に、毎月のわずかな損失は気にしない先生がおられます。

これは生活習慣病を放置している患者さんによく似ています。不動産投資においては、新築区分マンションは動脈硬化のリスク因子のようなものです。区分を10戸買ったらそれだけ破産のリスクが増えます。

節税目的の築古木造アパートでの節税もダメ絶対

新築区分マンション以外にもう一つ医師の節税として紹介されるのが築古木造アパートです。アメリカの木造住宅での節税方法もありますが、今回は日本の木造アパートについてです。

節税の原理は以下の①、②の仕組みを利用しています。

①木造アパートは法定耐用年数22年を越えると減価償却期間が4年

②個人で不動産を所有すると5年間保有後の売却時には長期譲渡で税率が約20%になる

例えば、千葉県にある築25年の木造アパート、5000万円の物件があったとします。売主との合意が必要ですが、売買契約書に建物価格を明記していれば、建物割合9割にすることもできます。5000万円の9割なので、4500万円が建物価格になります。

4500万円を4年で減価償却すると4500万÷4年で毎年1125万円を減価償却することができます。所得税と住民税の合計が43%であれば、毎年の節税額は1125万円×43%で約480万円になります。4年間で約2000万円も節税になります。

減価償却した分、簿価は減るので、仮に長期譲渡となる6年目以降(売却した年の1月1日で5年間保有)に諸々の経費+残債で売れたと仮定すると、譲渡税は経費として使った減価償却分4500万円×20%=900万円となり、2000万円ー900万円で約1100万円の節税につながったことになります。

ただし、これはいくつかの条件があります。

築古木造アパートの節税が上手くいくためには

①6年目以降にさらに築古になった木造アパートが残債以上で売却できること

②所有している間、空室や修繕費、返済で手出しが出ないこと

この2つが最低条件だと思います。節税のために不動産を購入する医師の方は節税に気を取られていて、これから取り組むのが不動産投資事業であることを忘れがちです。

①築古の木造アパートが残債以上で上手く売却できること

まず木造アパートの法定耐用年数22年を超えた築古木造アパートに融資してくれる銀行は限られています。かつてスルガ銀行も取り組んでいましたが、返済できなくなるサラリーマンが続出し、スルガ銀行でさえも中古木造アパートには融資しなくなりました。

そうなると、日本政策金融公庫や三井住友L&Fなどのノンバンク系になります。日本政策金融公庫は、通常4800万円までの融資で、担保を提供する融資で基準金利1.16~2.15%(日本政策金融公庫HP)になっています。

ここで具体的にシミュレーションしてみましょう。医師などの高額所得者をターゲットにした某不動産会社と面談した際に、早速紹介されたのが千葉県にある築25年くらいの木造アパートでした。利回りは数年前ですが9%ほどだったと記憶しています。

まずは木造アパート築25年、利回り10%、金利1.5%、フルローンという好条件で計算してみます。築古木造に対しては、特に融資が厳しいので、そもそも融資が出ない可能性が高く、ノンバンクでは金利3%以上、頭金2,3割を求められると思います。

築古木造アパートのシミュレーション(好条件パターン)

所在地:千葉県

築年数:築25年 木造

価格:5000万円

表面利回り:10%

経費率:15%

融資期間:15年 元利均等返済

融資額:5000万円(これ以外にも仲介手数料などの諸経費で7〜8%必要になります。諸経費は自己資金で払う想定です。)

空室率:8%

築古木造アパートの収支計算

・毎月の家賃(空室率8%):約383,000円

・年間の家賃(空室率8%):4,600,000円

繁忙期を中心に出入りがあるため年間を通じて満室になることはありません。私の場合、8%の空室率で計算しています。

・毎月の返済額:310,371円

・年間の返済額:3,724,452円

・年間の諸経費(固定資産税・修繕費・管理費など):750,000円(500万×15%)

・毎月の諸経費:62,500円

家賃の15%で概算しています。修繕が多ければ20%くらいになります。ただし、空室があればその分管理費は若干安くなります。

・毎月の収支(家賃収入(空室率8%)ー返済額ー諸経費):

383,000円ー310,371円ー62,500円=10,129円

・年間キャッシュフロー(税引き前):121,548円

比較的好条件の融資であっても、年間のキャッシュフローは12万円です。もう少し大きな修繕が入ればマイナスになります。

上手く売却できた時の理想的なシミュレーション

5年間運営した時の6年目の残債:31,328,682円

築年数:築30年 木造

5年後の家賃収入:475万円(5%下落)、450万円(10%下落)

3500万円で売却→表面利回り 475万円/3500万円=約13.6%

売却時の仲介手数料:3%+6万円 111万円(税別)

課税譲渡所得=売却価格ー取得費(建物+土地+その他取得費)ー売却時の費用

※その他取得費には購入時の仲介手数料や不動産取得税、購入時の登記費用(登録免許税+司法書士報酬)などが入ります。シミュレーション上は、購入時の仲介手数料156万円(税別)としてざっくりと計算しています。印紙代も今回は除外しています。

※取得費から減価償却した分は差引かなくてはなりません。経費として減価償却した分は売却時に利益として計上される仕組みです。

課税譲渡所得=売却価格3500万ー取得費(建物4500万+土地500万+その他取得費156万ー建物減価償却分4500万)ー売却時の費用111万=2733万円

譲渡税:2733万×20%(長期譲渡)=約547万

※仲介手数料の消費税や印紙代、他の細かい経費を考慮していないため、細かく計算すれば500万〜530万くらいになるかと思います。

6年目の残債:約3133万円

売却益=売却価格3500万ー残債3133万=367万円

譲渡税500万円くらいを支払うことになり、手元には350万円くらい残るので、3500万円で売却した時には150万円くらいを追加で支払います。

減価償却分だけで4年間で約1100万円節税できているので、上手く売却できれば1000万円くらいは節税できる計算になります。

ただし、これは非常に運が良い場合です。実際には以下のような事態が想定されます。

想定されうる築古木造アパートの悪い事態

・満室にならず想定の家賃収入より少ない。返済の一部を毎月医師の給与から持ち出さないといけない。

・修繕費用がかさみ本業の給与から手出しが出る

・購入後に家賃を大きく下げないと埋まらない。下げても埋まらない。

・そもそも高く買ってしまっているため、残債より高く売れない。

・インカムゲインもなく、キャピタルゲインもない二重苦の状態で当初の節税効果がどんどん減っていく。物件によってはトータルでマイナス。

問題となる点をいくつかピックアップします。

①築古木造に融資する銀行はほとんどないので買い手が見つからない。

法定耐用年数を超えた建物は、税法上価値は0と考えます。実際に住めるかどうかは関係ありません。まともな銀行であれば、耐用年数超えの物件には基本的に融資をしません。また、勉強している不動産投資家であれば、耐用年数超えの融資は受けません。

新築木造アパートについてはオリックス銀行や大光銀行、りそな銀行など新築木造に耐用年数超えの30年〜35年融資することはあります。ただし、これも危険です。

築25年で購入して、築30年や31年で売却しようとしても、よほどの場所でなければ売れません。土地値以下でしか売れないかもしれません。

ですので、シミュレーション上の築30年の木造が利回り13.6%で売れるかどうかはかなり怪しいです。しかし、不動産業者は何食わぬ顔でありえないシミュレーションを示してきます。

不動産投資初心者の医師は、示されたシミュレーションの内容を鵜呑みにして購入してしまいます。購入してしまったら、相手のせいにはできず、損失は自ら稼いだ給与から補填するしかなくなります。

②空室や修繕、家賃下落のリスクが高い

シミュレーションでは空室率8%、家賃下落を5%で計算しています。しかし、築古木造アパートはよほど差別化できていない限り、8%以上の空室率や比較的大きな修繕もかかってきて、所有している間、手元からお金が出て行く可能性があります。

また、家賃についても、10%以上値下げしないと入居してもらえない事態も考えられます。適正家賃かどうか、入居付(店子付)ができる地域かどうかは、実際に物件を見て、周辺の不動産屋に聞き取り調査を行わなければいけません。ここを疎かにすると、あとで大きな損失になります。

そもそも、築古木造アパートというジャンルは医師にはおすすめしないので、一瞬で除外されるべきですが、一般的には、購入する物件を見ず、調査もせずに買うことは危険です。絶対に止めてください。

③購入時に多額の自己資金を求められるので資金効率が悪い

今回のシミュレーションでは築古木造アパートにフルローンが出たという想定で計算しましたが、通常は頭金2〜3割を求められると思います。5000万円の物件であれば、1000万円以上自己資金を使うことになります。

何十億も資産があれば別ですが、2千万円〜1億くらいの金融資産規模で、物件を購入するたびに1000万〜2000万円の自己資金を使っていると、投資規模に限界が来てしまいます。少なくとも医師の本業と同じレベルの家賃収入を得たいのであれば自己資金は極力温存しなければなりません。

金融資産が少なくなれば、銀行側は融資しにくくなることにも注意が必要です。

目先の節税1000万円くらいに目が眩んで、貴重な自己資金1000万円を使い、その後も毎月損失が出続けるというパータンに陥らないようにしてください。

第2、第3とカモられる医師達

新築区分でも築古木造アパートでも業者は言葉巧みに勧誘してきます。私が医師の節税で比較的有名な築古木造アパート業者と面談した時です。「今はこれしか残っておらず、こちらもすぐに売れてしまいます。」というようなことばで、千葉県にある築27,8年、利回り9%くらいの木造を勧めてきました。営業の社員自身も不動産投資を行なっていて、家賃年収で5000万円と言っていました。

当時、家賃収入がほぼ0だった私からすれば、単純にすごいなと思っていましたが、築古木造アパートで家賃年収5000万円だったとしたら、かなり危険な状態だなと今なら思います。

しかも売主は経営者の方で、その不動産会社の顧客だと言っていました。なかなか買い手のいない築古木造アパートを、同じ会社内の顧客に節税という名目で売っている様子が垣間見えました。

一人目の顧客が築22年や23年で購入した築古木造アパートを、減価償却を使い切った6年目以降の売却に、まだ何も知らない勤務医、開業医に売っているのではないかと思っています。

不動産投資としては失敗の築古木造アパートを、節税面でわずかにメリットがあるのは経営者や医師といった高所得者だからです。

築古木造アパートを勧誘された私は、まだ不動産投資自体には詳しくありませんでしたが、営業担当者がやや怪しかったのと、面談当日にいきなり売り込んできたため、直感的に買わないほうが良いと判断しました。

繰り返しますが、築古木造アパートは上手く運営、売却できれば節税面でメリットはありますが、不動産投資としては失敗です。通常、融資はつかないので医師個人の与信枠を最大限に使って融資付けを行うことになります。

医師個人の与信枠を使って銀行評価の悪い不動産を購入してしまうと、1棟目を買った時点で次の融資が出なくなります。

こうして第2、第3とカモられる医師が増えているのではないかと危惧しています。医師にとって、命を削って稼いだお金は貴重なものです。それを不動産投資で失わないように今から少しずつ学んでいただければと思います。

 

不動産投資の流儀
かんざき@投資家兼医師
かんざき@投資家兼医師
節税目的で新築区分や築古木造は買わないで!